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日本の敗戦は中国に何をもたらしたか

 日本の敗戦が中国に何をもたらしたのか、これは日本側の認識と中国側の認識では大きく異なっています。それは日本が挙国一致体制で一国一主権だったのに対し、中国は一国分裂状態であったからということが大きな要因です。ちなみにこのときの中国は現在のような一党独裁制ではありませんでした。与党が中国国民党、最大野党が中国共産党、その他にも中国民主同盟、中国青年党などの野党がありました。
 では、日本の敗戦が中国に何をもたらしたか、それは無慮2200万人(この数は何を基にしているかは不明瞭ではありますが)の死傷者の血を注いで勝ち取った抗戦の成果は、そもそも誰に帰属するべきかという問題がでした。中国側としては日本の敗戦はもはや予期するまでもなく自明の事実となっていました。その証拠に日本がポツダム宣言を承諾する1945年8月14日より前の8月10日に、国民党政府のある重慶の中央放送局よりすでに「日本降伏」が報じられています。8月15日、日本天皇のラジオ放送後の蒋介石の勝戦ラジオ放送でも「恨みに報いるに恨みをもってせず」と言い、日本の侵略行為を強くは言及していません。この蒋介石の演説を見ても、このとき中国国内にとって日本は大きなファクターではありませんでした。むしろ国民党と共産党の対立を懸念していたと見るほうが妥当なのではないでしょうか。
 誤解があるといけないので言っておきますが、このとき中国国内でインセンティブを持っていたのは共産党ではなく国民党です。単純に軍事における兵隊数を見ても国民党約430万人に対し、共産党はその半分以下の約150万人でした。それだけではありません。すでに冷戦は始まっています。国民党の背後にはアメリカ、共産党の背後にはソ連がすでに待機していたのです。1945年8月末までにソ連軍は張家口(北京のすぐ隣の方にある地名です。このときすでにソ連軍はそこまで進軍してきていました)に進出、それに対し9月末、アメリカ軍も塘沽に上陸しています。(この地名の場所はよくわかりませんでした。ただし沿岸部であることは間違いないでしょう。このアメリカ軍は海軍です)9月2日、連合国最高司令部の命令により日本の武装解体が行われました。と、言ってもこの武装解体は満州を除いています。満州(中国東北部)はすでにソ連の影響下にありました。この戦後中国処理にまで冷戦の性格を見て取ることができます。そういう意味では分割統治されなかった現代の日本は本当に幸いだったのでしょう。
 9月9日、中国国民党政府は日本の降伏文章を受理、同時に中国内にまだ駐屯していた支那派遣軍も降伏文章に調印しています。9月2日の降伏文章調印より日本の影響力はどんどん縮小されていきました。それとほぼ同時に起こったのが重慶交渉、国民党と共産党の会議でこれには毛沢東自らが乗り出していきました。8月30日から10月10日まで行われた会議により以下の項目が合意されました。

1、内戦回避と平和統一
2、国民政府による「政治協商会議」の招集と、「平和建国」ならびに国民大会召集の方法の検討
3、政治的自由と平等権の保障
4、政治犯の釈放

 この合意は俗に「双十協定」と呼ばれています。2は明らかに国民党優位の合意ですし、そのほか全国統一政府の樹立も国民党の拒否されてしまいました。と、いうのも「統一政府」という概念が国民党にはなかったでしょうし、この重慶交渉自体が国民、共産両党の戦力確保のための時間稼ぎでしかなかったのです。
 と、かなりマニアな歴史を語ってみました。60年前の戦争を日本一国単位で考えると本当に大切なものが見えてこない場合があります。このように中国側の視点やアメリカ側の視点でアジア太平洋戦争の終結を見ていくのも面白いですよ。ここでは日本の敗戦は中国にとっては大きな問題ではなかったということが読み取れるのではないでしょうか。それ以上に国内問題、国民党と共産党の対立の中で、効用拡大のためどのように日本敗戦を利用するかが問われていた部分ではないかと思います。
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ジャンル : 政治・経済

2006-01-14 : 歴史研究 ~北東アジアの追及~ : コメント : 0 : トラックバック : 0
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